オリコンの烏賀陽氏を相手取った5000万円の損害賠償訴訟に抗議する
知人から17日に『友人が訴えられてしまいました』というタイトルのメールが家人の元へ送られてきた。その知人いわく、
『30年来の友人が、オリコンから訴えられてしまいました。
(略)
友人は、元朝日新聞の記者です。
根拠のない記事を書くような人間ではありませんし、話を聞いた限りでは「面白くない」記事ではあるかも知れませんが、名誉毀損になるとは思えません。
音楽著作権について、少しラディカルな記事を多く書いていたのでねらい打ちされたのではないかと想像しています。』
とのこと。
訴えられた、烏賀陽弘道氏は『Jポップの心象風景』(文春新書)、『Jポップとは何か』(岩波書店)などの著作で知られるフリージャーナリスト。
訴訟の対象になったのは、烏賀陽氏が「サイゾー」06年4月号51ページの「ジャニーズは超VIP待遇!?事務所とオリコンの蜜月関係」という1ページの記事に掲載されたわずか20行ほどのコメント。このコメントは「サイゾー」編集部から烏賀陽氏が電話で受けた取材に基づくものらしい。オリコンは烏賀陽氏の住所を知らないためか、月刊誌「サイゾー」編集部に損害賠償訴訟の訴状を送ったようだ。
その後、烏賀陽氏は知人等に同報メールを送った。烏賀陽氏のメールを見ると一部、年の記述に間違いがあると思われる部分もあり(私が思うに06年が05年になっている)、ここでの転載は避けるが、烏賀陽氏本人のサイトに以下の告知が発表された。
http://ugaya.com/column/061219oricon.html
■「オリコン」が烏賀陽個人を被告に5000万円の損害賠償訴訟■
意見が違うというだけで、企業が個人に5000万円を求めるなんて!
これは武富士と同じ手口の言論封殺の恫喝訴訟じゃないのか。オリコンは雑誌だってたくさん出しているのだから、烏賀陽の言うことが間違っているのなら「烏賀陽のいうことはウソです。なぜなら××」と反論すればいいのだ。それこそがまっとうな「言論」というものじゃないのか。意見の異なる者を高額訴訟で社会的に抹殺するなんてのは、民事司法の体裁をとった言論妨害じゃないのか。
ちなみに、5000万円という金額は、応訴するために弁護士を雇うだけでも着手金が219万円かかるらしい。記事を書いたのはあくまでも「サイゾー」編集部。烏賀陽氏は電話でコメントを求められたにすぎない。その人を相手に訴訟を起こす事自体、常軌を逸しているとしか思えない。
また、上記の『武富士と同じ手口の言論封殺の恫喝訴訟』とは、ジャーナリストの批判を封じるための恫喝を目的とした、消費者金融・武富士がかつて行った恫喝訴訟のことであり、武富士訴訟ではジャーナリスト側が勝訴し、逆に武富士を訴えて勝っているという(関連記事:http://www.kinyobi.co.jp/takefuji)。
尚、上記に引用した烏賀陽氏のサイトから、サイゾーの記事は見ることができる。
また、同業者である津田大介氏の音楽配信メモのhttp://xtc.bz/index.php?ID=396に、烏賀陽氏が同報したメールとサイゾーの記事の再録と所感(他に私が言う事なし!!)と訴状の画像がまとめられているが、文頭に、以下のメッセージが加えられていた。
『現在アクセスがこのエントリに集中しており、アクセス時認証ダイアログが出たり、アクセス不可になることがあります。
(略)
アクセスできないときはしばらく時間をおいて、もう一度アクセスしてください。』
尚、津田氏が引用した同報メールでは日付の間違いが訂正されていた。
また、本日、津田氏の記事の最後に、以下の文章が書き加えられていた。読んだこちらが胃が痛くなりそうな状況だ。私はジャーナリストではないが、ブログを書く人間にとっても人ごとではないのではないか。
なお、烏賀陽さんはこの訴訟の当事者であるため、自発的な発言が非常に難しい(微妙な)状況に置かれております。この訴訟に関する発言が少ないことに関しては、そのような事情があることをご理解ください。
さらにいえば、烏賀陽さんは第1回期日(来年1月4日)までに答弁書を作成し、裁判所に提出しなければなりません。それをしなければオリコン(原告)の主張が認められてしまうからです。この訴訟に関する(現時点での)彼の発言が少ないことに関しては、そのような事情があることをご理解ください。
烏賀陽さんの年末年始はこの答弁書の作成に追われることになってしまうでしょう(しかも高額の着手金を自腹で弁護士に支払って、です)。ライター・ジャーナリストにとって死ぬほど忙しいこの時期を狙い打ちし、本来はゆっくり落ち着くための年末年始を潰し、精神的に追いつめるようなオリコンのやり口は個人的に到底許すことはできません。本当に憤懣やるかたない思いでいっぱいです。
また、19日12:00の日付でオリコンのサイトに事実誤認に基づく弊社への名誉毀損についてというプレスリリースが掲載されている。私が読んだ限りにおいては、(オリコンが言うところの)烏賀陽氏が毀損した名誉を回復するための措置が5000万円の損害賠償訴訟しかなかったとはどうしても思えない。
【追記】
オリコンのプレスリリースにトラックバックを送った。
さらに追記:相手側のサイトで受け付けられたのを確認したが、その後
【追記2】
J-Castニュースが両者に取材して、互いの言い分を記事にしている。また紀藤正樹弁護士のコメントも寄せられている。